はじめに

 

諸外国では水道水がそのまま飲めないということもありますが、日本では水道水を水道から直接飲むことももちろんできます。世界の中でも特に品質が良いことで知られる日本の水道水ですが、それでも「カルキ臭くて飲めない」と感じる方は多いはずです。しかし時として、自宅の水道水からカルキ臭さとは別の異臭を感じる場合があります。水道水が異臭を放つ原因には様々な理由があるのですが、普通に暮らしていればそういった話題に触れることもあまりないかもしれません。

そこで今回の記事では水道水が異臭を放つ原因と、その時の対処法について解説していきます。カルキ臭さ以外の異臭がする場合にはその異臭の原因を探り、それぞれの原因に合わせて対処していく必要があります。今回は水道水から異臭がするという状況を想定して、詳しい原因とともにその対処法について勉強していきましょう。

 

 

 

1章:水道水の異臭の原因は?

そもそも皆さんは水道水がカルキ臭くなる原因をご存知でしょうか。浄水施設では水道水の消毒のために塩素を使用していますが、梅雨時のような雑菌が繁殖しやすい時期ともなると、使用される塩素量が増える場合があります。本来であれば水道管内を流れるごとに消えるはずの塩素の臭いが、塩素の濃度が濃いあまり一般家庭の水道水として供給されるまでに抜け切らない場合に水道水がカルキ臭くなります。

カルキ臭さ以外に水道水から異臭がする原因としては水道管サビ、それ以外の3種類に大別することができます。以下では各項目に分けて、それぞれの原因ごとに詳しく見ていきます。

 

 

1-1水道管

水道管に由来する異臭の種類にもいくつかあり、その異臭ごとにさらに細かく分類すると以下のようになります。

 

シンナー臭い場合

一戸建て住宅を新築したりリフォーム工事を行った場合に、水道水からシンナーのような異臭がした場合には以下のような原因が考えられます。

 

①架橋ポリエチレン管ポリブテン管といった樹脂管由来である

②水道管の工事に際して利用された接着剤が、水道水に溶け込んでいる

 

工事による一時的なものではありますが、その刺激臭が水道水から放たれる可能性があることをご存知でない方も多いのではないでしょうか。

 

・下水臭がする場合

基本的に排水管には様々な形状のトラップが付属していますが、この排水トラップには悪臭や害虫・小型の害獣の類が家庭内に流入しないように排水管内に一定量の水が溜められています。ただしこのトラップ内の水が少なくなることで、時として水道水を流した際に下水臭が逆流することがあります。

 

・油臭い場合

一部の集合住宅では排水管が共通している場合があり、別の家庭から流された油の臭いが逆流し、水道水を使用した際に異臭として上がってくる場合があります。

 

これらの原因により水道水から異臭がすることがありますが、異臭の種類によっては自力で対処できる場合も少なくありません。各原因に応じた対処法については、次章で詳しく後述します。

 

 

1-2サビ

築年数が長く経過しているマンションやアパートといった古い中高層住宅では、水道水からサビの臭いを感じる場合があります。これは水道管内の鉄錆の臭いがその中を通過する水道水へと移ったことによるのですが、嗅覚が鋭い方でもなければサビの臭いに気付くことはほとんどないと言ってもいいでしょう。

ただサビの臭いを顕著に感じやすいのが、自宅を長期間空けた後に水道水を使用した場合です。普段であれば供給された水が水道管内に留まる時間も短いですので、水自体にサビの臭いが移ることはまずありません。しかし旅行や出張などの理由で長期にわたり自宅を留守にしてしまうと、その間にも供給された水道水が水道管内に滞留する時間が長くなり、結果としてサビの臭いが水道水へと移ってしまうことにもなりかねません。

 

しかし鉄自体は人間の体を構成する成分の一つでもありますので、鉄を摂取したからといって体に害が出ることはほぼありません。それでも嗅覚の鋭い方からすれば、水道水の異臭として気になるものではあるでしょう。

 

 

 

1-3その他

上記の内容以外にも水道水から異臭がする原因がいくつかあり、その内容としては以下のようになります。

 

・藻のような臭いがする場合

水源から浄水場へと水を運んだ際には消毒とともに消臭作業も行うのが一般的ですが、時として藻のような臭いが水道水に残ったままで供給されている場合があります。これはマンションやアパートなどに設置されている高置水槽内で藻類が繁殖することによる場合が一般的ですが、水源である河川で藻類が繁殖しておりその臭いを浄水場で十分消臭しきれていない場合も稀にあります。

 

・カビ臭い場合

台風やゲリラ豪雨といった集中的な豪雨の後に水道水を使用すると、時としてカビ臭さを感じる場合があります。これは水源である河川の水が氾濫したことにより泥の含有量が増えることによるのですが、基本的にはある一定の水準までであれば浄水場のろ過装置で泥やカビを取り除くことができます。しかし自然災害の発生によりその地域全体の水源が氾濫し、結果として泥混じりの水が浄水場へと大量に供給されれば、ゆくゆくはろ過装置の許容範囲をいとも容易く超えてきます。そうなれば自宅の水道水がカビ臭くなることも十分ありえる話です。

水道水がカビ臭くなるのには季節も関係しており、特に梅雨時ともなるとそれ以外の時期よりもカビ臭さが顕著になることもあります。

 

これは河川や湖沼といった水源でアオコのような藻が大量発生することに端を発するのですが、梅雨時の水道水がカビ臭くなるのには複雑な要因が絡んでいます。水源である河川や湖沼から大量の水が流れ込むダムでは、水面を遮蔽することにより植物プランクトンやその他の水生生物を死滅させるように導いています。アオコのような藻類も例に漏れずダムにおいて死滅するよう導かれるのですが、ダム内で死滅した生物の死骸はそのまま水中に蓄積します。それらの死骸は時間が経過するとともに硫化物のような毒素を生成するに至り、海外であればそうした水を飲んだ家畜が死んでしまう事故も度々起こることがあります。

浄水場の塩素消毒が季節によっても強化されるため、基本的には梅雨時だからといって必ずしも水道水がカビ臭くなる訳ではありません。ただし藻のような臭いを残さないために塩素消毒をきつくし過ぎたあまり、結果としてカルキ臭さが水道水に残るといった可能性は十分考えられます。

 

これらの原因により水道水から異臭が放たれる訳ですが、こうした状況下で家庭で使用する水道水から異臭がした場合には、どのように対処すればいいのでしょうか。

 

 

 

2章:水道水から異臭がした時の対処法

 

水道水から異臭がする原因を大まかに把握したところで、この章では水道水から異臭がした時の対処法について解説します。水道水からする異臭の種類にもよりますが、それぞれの場合に応じて対処法が微妙に異なります。以下でその対処法について、詳しく見ていきましょう

 

 

2-1原因を探る

水道水から異臭がする場合には、まず原因を探ることから始める必要があります。水道管由来の異臭の場合には、まず異臭がする水道から水道水をコップに1杯分だけ汲み出してください。そして水道管からある程度離れた場所で、実際にその異臭がコップに汲み出した水道水から臭うかどうかを確認してください。もしもコップ内に入っている水道水からその臭いが感じられない場合には、水道管が原因での異臭ではない可能性が高くなります。

異臭がする原因によっては健康に何の害もない場合もありますが、藻のような異臭がする場合は話が別です。藻のような異臭がする水道水を飲むと健康に害が出ないとは言い切れませんので、すぐに管轄の水道局に連絡するようにしましょう。

 

 

□2-2原因ごとに対処する

水道水の異臭の原因を特定できたら、次は原因ごとに対処する必要があります。カルキ臭さを取り除く方法は次章にて後述しますが、それ以外の異臭については自力で対処できないことがほとんどです。そのため出費のことは気にかかるにせよ、ひとまずは素直にプロを呼ぶことが先決です。

 

 

2-3だめならプロを呼ぶ

水道関連のプロを呼べば、自力では対処できない異臭についてもすぐに対処してくれます。どうしても費用面が気にかかるのであれば、無料見積もりしてくれるプロに連絡してみるといいでしょう。無料見積もりしてくれる業者であれば、かかる費用を概算で出してくれます。

ただ水道管由来の異臭であれば水道局に直接問い合わせた方がいい場合もありますので、まずはそちらから問い合わせてみることをおすすめします。

 

 

 

3章:水道水からカルキ臭さをなくすためには

ただし上記のような異臭がする可能性はまだ低く、最も一般的な水道水の異臭はカルキ臭さであることが挙げられます。

 

水道水のカルキ臭さをなくすには煮沸するのが一番手っ取り早いと思う方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。2ℓの水道水を10分程度煮沸すれば確かにカルキ臭さはなくなるのですが、それとは別にトリハロメタンという物質ができる可能性が高くなります。このトリハロメタンとは発がん物質の一つであり、塩素入りの水を煮沸させることで通常の2〜3倍も出やすくなってしまいます。日本の水道水に含まれる塩素濃度は世界基準のおよそ1/4程度ではあるものの、数値が低いからといって必ずしも安全という訳ではありません

煮沸する以外にも水道水のカルキ臭さをなくす方法にもいくつかありますが、以下で各項目に分けて詳しく紹介しておきます。

 

 

3-1 レモンを使用する

レストランでも広く利用される方法でかつ最も効率的にカルキ臭さをなくせるのが、レモン果汁を使用する方法です。この方法であればコップ1杯程度の水だとレモン果汁2〜3滴垂らすだけで事足りますし、ピッチャー内の水のカルキ臭さをなくしたい場合には薄く切ったレモンスライスを漬けておくだけで十分です。

ただしあまり長時間漬けてしまうとレモンの苦味が水に出てしまいますので、あまり時間を置かずに取り出す方が無難です。

 

 

3-2 冷蔵庫で冷やす

冷たい水道水が飲みたい場合には、冷蔵庫で冷やすのが効果的です。その手順としてはまず大きめのボウルやペットボトルに水道水を8分目まで入れたら、後はそのまま冷蔵庫で冷やすだけです。ボウルにラップを張って冷蔵庫に入れる場合には、細かい穴を複数箇所に空けておくと密閉するよりも塩素の気化が早まります。またペットボトルの場合であれば、ペットボトルをよく振ってからキャップを開けて再度締め直せば、空いた空間に溜まった塩素が抜けますので通常より早めにカルキ臭さをなくすことができます。

水道水に残った塩素がなくなると細菌が繁殖するリスクも低くできますので、清潔な水を飲むためにも効果的です。

 

 

3-3 浄水器を使用する

水道水のカルキ臭さをなくすために利用できる物として忘れてはならないのが浄水器です。ただし水道水の塩素を完全になくしてしまうと細菌繁殖のリスクは免れられませんので、浄水器を使用したとしてもある程度のカルキ臭さは残ってしまいます

浄水器の種類は実に多種多様ですが、機能自体にも以下のような種類があります。

 

・活性炭を利用した浄水器

塩素を取り除く作用があるとともに、不純物をも吸着する採用を併せ持つ

 

・精密濾過膜を利用した浄水器

クリストスポリシウムの原虫や不純物を取り除く作用を持つ

 

・逆浸水膜を利用した浄水器

水分子だけが通過できる構造を持つ膜で、不純物を取り除くのに役立つ

 

逆浸水膜に関しては現在開発中のものではありますが、これらの機能を兼ね備えた浄水器が現在では多数取り揃えられています。現在販売されている浄水器のほとんどがカルキ臭さだけに限らず、不純物やサビの臭いを取り除く機能も充実しています。

ただし浄水器を使用する際には、浄水器内付属のフィルターの交換期限をきちんと確認しておく必要があります。このフィルターの期限が切れた状態で使用し続けると、フィルター上に細菌が繁殖することにもなりかねません。使用する前にはその点を忘れないよう注意してください。

 

 

 

まとめ

 

水もまた貴重な資源である以上は、なるべく無駄にしたくないものです。ただ異臭がする水をわざわざ飲みたいと思う方もいないでしょうから、日頃からカルキ臭い場合にはこの記事で紹介した方法で対処するといいでしょう。

またそれ以外の異臭に関してはプロに頼むことが一番の近道ですので、水道水から異臭がすることを確認したら、最寄りの水道局やプロの水道業者に連絡してみることをおすすめします。