はじめに

家屋と同じく長期間にわたり高い耐久性を誇るトイレであっても、場合によってはヒビが入ることもあります。ヒビとだけ聞くとそれほど問題視する必要もないように感じるかもしれませんが、実際には便器のヒビによる水漏れは深刻なトラブルになりえます。また軽度のヒビであれば自力で補修できるように勘違いする方もいるでしょうが、それは大きな間違いで実際には便器のヒビを直すには高額の修理代が必要になります。

そこで今回の記事では便器にヒビが入る原因とその対策について解説します。原因にもよりますが、トイレの扱いさえ丁寧にしておけば未然に防げる場合があります。便器にヒビが入ったせいで思わぬ出費を招く前に、まずは便器にヒビを入れないような扱い方を考えてみましょう。

 

 

 

1章:便器にヒビが入る原因とは

この章では便器にヒビが入る原因について解説していきます。便器自体はそもそも陶器で出来ている訳ですが、陶器製であるために便器の耐久年数は家屋と同じ25〜30年まで伸びるとされています。様々な技術が進化した現代でさえ、一部のトイレを除き便器は昔と変わらず陶器製のままです。ただ高い耐久性を兼ね備えているとはいえ、外的な要因による衝撃や圧力には意外と弱いものです。以下でさっそく便器にヒビが入る原因について見ていきましょう。

 

 

1ー1 熱湯をかけて掃除している

最近になって便器にヒビが入る原因として多くなりがちなのが、掃除の際に熱湯をかけるという間違った掃除方法です。トイレの各製造メーカーは便器に熱湯をかけることを推奨しておらず、また陶器にはそもそも熱湯に対する耐久性が備わっていません。

そのため熱湯をかけた後の急激な温度差に陶器が耐え切れず、結果として便器にヒビが入ってしまうことがあります。掃除方法として熱湯をかけることで汚れを浮かせやすくなることは確かに正論ですが、トイレの掃除でだけは熱湯を使うことは避けた方が無難でしょう。どうしてもお湯を使いたいのであれば、ぬるま湯の温度まで調節してから便器内に流すように心がけてください。

 

1ー2 タンクの蓋を落下させてしまう

トイレのタイプによってはトイレタンクの蓋を着脱できるものがありますが、タンクの蓋を外しての掃除の最中に手が滑り、便器の上からタンクの蓋を落下させてしまう場合があります。タンクの蓋ともなると厚みがあるためにそれなりの重さがあるので、上から落下させるだけでもかなりの衝撃を便器が受けることになります。タンクの蓋を外して掃除する際には細心の注意を払って蓋を扱うようにすることで、うっかり手を滑らせて落としてしまうことを未然に防ぎやすくなります。

 

 

1ー3 便器を踏み台代わりに使う

年末になると毎年の恒例行事として大掃除がやってきますが、中には大掃除の際に便器を踏み台代わりに使う方もいるようです。あるいはトイレの個室内を飾るインテリアを着脱するために、便器を踏み台代わりにする方もいますがそもそも便器に乗るということ自体が大きな間違いです。

確かに便器は一般的な体重の人間が座って頻繁に用を足しても壊れないだけの耐久性は備えていますが、立った状態で便器に全体重をかけるのとでは全く訳が違います。便器に体重をかければかけるほどその一部分にかかる重圧は増していき、耐え切れなくなった時点で便器にヒビが入ってしまうことは容易に想像できます。座った状態と立った状態とでは体重のかかり方が全く違うことを念頭に置き、決して便器を踏み台代わりに利用しないよう注意しなければなりません。

 

 

1ー4 経年劣化による

上記のような扱い方をしない場合でも、経年劣化によりふとした瞬間にヒビが入ってしまうことは少なからずありえます。いくら便器の耐久年数が長いとはいえ、当初の設計通りに耐久性が落ちていくとも限りません。普段から乱暴な扱い方をしていなくとも便器にヒビが入ることは十分考えられ、ヒビが入った原因に心当たりがない場合でも早急に対策を立てないといけないことは頭の片隅ででも意識しておいた方がいいでしょう。

 

 

 

2章:便器にヒビが入ると起こるトラブルとは?

ここまで紹介した理由により便器にヒビが入る訳ですが、便器にヒビが入ることで起こるトラブルの代表例として挙げられるのがトイレの水漏れです。便器内には大量の水が溜まっていることから、軽微なヒビが入るだけでもその亀裂から水が緩やかに漏れ出していきます。

水漏れが起こってしまうと便器が設置されている床だけでなく、トイレの個室内の壁や室外の床まで浸水してしまう恐れがあります。そうなれば便器の修理代に加えて床材や壁紙の交換費用、さらには最近感染を予防するために消毒作業も追加してもらわなければなりません。ヒビの程度を問わず深刻な被害が出ることは想像に難くないので、なるべくであればヒビが入らないような便器の扱い方を日頃から心がけておきたいものです。

 

 

 

3章:便器にヒビが入った時の応急処置とは

便器に入ったヒビの大きさが小さければ自力で直せるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、前述したように便器のヒビは素人だけでは直せません。応急処置として補修することはできますがあくまでもその場しのぎにしかならず、結局はヒビが入った時点ですぐさま水道業者を呼ぶ必要があります。ヒビだけの補修で済ませられれば修理代が安く抑えられると考えるかもしれませんが、実際にはヒビの補修を水道業者が請け負うことは絶対にありません。

というのも一時的にヒビを補修したからといって継続的に使えるかどうかの安全性をプロの水道業者でも保証できないためであり、ヒビに対する修理方法として基本的に提示されるのは便器の交換、あるいはトイレ一式の交換となります。

 

ヒビが入ってしまった時点で取り返しはつきませんが、深刻な被害により高額の修理代を請求されないためにも早急な対策を講じる必要があります。その具体的な手順については以下のようになります。

 

止水栓を閉める

水漏れの被害を最小限に抑えるためにまずすべきこととして、トイレに備え付けられている止水栓をしっかりと閉めます。トイレの構造にもよりますが、基本的には排水管の壁際部分にハンドル状、あるいはマイナスドライバーで回せるような溝状の部分が設置されているはずです。その部分をきちんと閉めることでトイレに供給される水を止められるので、水漏れに気付いたらすぐさま止水栓を閉めることから始めましょう。

 

・便器内の水を汲み出す

ただ止水栓を閉めただけでは便器内の水を抜くことにはつながらないため、次にすべきこととして挙げられるのが便器内の水を汲み出すことです。便器内の水を汲み出す際に便利なのがバケツや給油用ポンプなのですが、どちらともなければとりあえず水を汲み出せる容器であれば何でも構いません。便器のヒビが入った部分よりも水位が下がるまで便器内の水を汲み出し、ヒビ部分から外部へと浸水することがないよう対策を講じる必要があります。

 

・便器のヒビを補修する

ヒビより下に水がある状態ならばヒビの補修は必要ありませんが、どうしても便器のヒビから水が漏れてしまう場合には応急処置としてヒビを自力で補修するというのも一つの方法ではあります。ホームセンターに行けば水周りの修理用品として防水パテやコーキングといったものが市販されているので、これらの道具でヒビを一時的に塞いでしまうことは可能です。ただしその状態で使い続けることは安全上の理由からおすすめできないので、すぐに水道業者に連絡するようにしてください。

 

・水道業者を呼ぶ

ヒビの程度が軽微であれば自力での補修も可能ですが、ヒビの程度が酷ければ素人ができる補修程度では対処できないことの方が多いです。勝手な素人判断により被害を深刻なものにしないためにも、便器のヒビが確認できた時点ですぐさま水道業者を呼ぶようにしましょう。

 

 

 

4章:ヒビの修理代にかかる費用とは

便器のどの部分にヒビが入ったかによっても修理代が大きく左右されてきます。この記事の締めくくりとして、最後にヒビの修理代としてかかる平均的な費用について紹介しておきます。

 

・トイレタンクの場合

ヒビの入った位置がトイレタンク部分であればトイレタンクのみの交換が必要になるため、平均的に47,000〜85,000円ほどの費用がかかるとされています。しかし一般的なトイレではなく特殊な形状のトイレともなるとさらに高額の修理代がかさむので、一概に断定することはできません。

 

・便器の場合

タンクではなく便器自体にヒビが入った場合であれば、52,000〜95,000円程度が平均的な相場として挙げられます。トイレを一度分解してから便器だけを交換するとなるとトイレ一式を交換するよりも高くつく場合があるので、修理代の見積もりは事前に頼んだ方が無難と言えます。

 

・10年以上経過しているトイレの場合

基本的には部分ごとの交換ができるトイレですが、使用年数が10年以上経過しているトイレでは部品のみの交換ができないことから、トイレ一式を交換する必要性が生じる場合があります。一般的なタイプのトイレと交換するだけでも120,000〜190,000円ほどかかるとされ、タンク一体型や特殊な形状のタイプと交換するとなるとそれ以上の金額がかかることが想定されます。

 

いずれの場合にせよヒビの修理代は割と高額になりやすいので、事前見積もりを頼める業者を選ぶことが大切です。

 

 

 

まとめ

トイレにヒビが入ると非常に厄介であることは分かってもらえたかと思いますが、経年劣化の場合以外は自分の扱い方次第で予防できる部分があります。便器のヒビはほぼ確実にトイレの部分および一式交換での修理となるため、修理代が想像以上に高額になる傾向があります。

トイレの修理で手痛い出費をしないためにも、適切な使い方でトイレをなるべく長持ちさせるよう心がけるといいでしょう。