はじめに

誰しもトイレは毎日のように使っていると思います。しかし、その使用頻度を考えると、その割には壊れるというケースがあまり多くないことと思います。

マンションやアパートを借りた際、または新築住宅を建てた際などに、備え付けてあったもの、購入したものを一生使う。そのような方も多いのではないでしょうか?

とはいうものの、トラブルは突然起こるものです。場合によってはトイレの便器を外さなければならないような大きなトラブルも発生することもあることでしょう。そこで今回は、トイレの便器の外し方について、解説していきます。

 

 

■一章:便器を外す前に

 

とはいえ、トイレの便器を自分で外すことは率直に申し上げてオススメできません。タンクの部品を交換する程度であればそこまで難しくもない上に、失敗しても大きな被害になる可能性も低いのですが、便器の外し方は間違えると水漏れのリスクがあるうえ、交換しようとして新しい便器を誤って割ってしまった場合などは、結局余計に費用がかさんでしまいます。また、そもそも便器やタンクはかなり重いため、力の弱い人は怪我などをしてしまうリスクもあります。

 

そのため、基本的に便器を外さないといけないようなトラブルが発生した場合は、すぐに専門の業者に依頼しましょう。どうしても自分で外したい、という方は手順をしっかり確認して、細心の注意を払って行いましょう。

 

 

□1-1:何故便器を外すのか

外し方について具体的に見ていく前に、まず便器を外す時とはどのような時か、確認していきたいと思います。

 

まず言えるのが、トイレがつまりを起こした時です。ご家庭のトイレが詰まった場合に、ラバーカップやお湯を使った対処法があります。

しかしそれでも解決できない際は、便器を外してみるというのも一つの手段になります。また、スマホなどの固形物を落として、それを拾わないといけない場合なども、一度便器を外す必要が出てくるでしょう。

 

ただし、トイレがつまった場合でも、原因がタンクの場合もあります。タンクにペットボトルを入れるなど誤った節水を行うと、水量が足りなくなるペットボトルが部品に引っかかるなどの原因によりつまりを引き起こす場合があります。その場合はタンクを開けて調べれば直せるので、原因が不明な際はまずタンクを調べることをお勧めいたします。

 

ほかに最近増えているのが、自分でリフォームや改築を行う場合です。特に現状トイレに不具合がない場合でも、最近のトイレは高性能なため、節水のためにトイレを新しくしたいという人も多いようです。ちなみに、従来の一般的なトイレは1回流すのに使う水が約13Lなのに対し最新の節水トイレは1回3.8Lで、1年間で15000円程度節約ができるとのことです。そのために近年リフォーム需要が急増しており、DIYなどが流行った影響もあってか、自分でトイレの便器の取り外しを行う方も増えてきているようです。

 

□1-2:外すために必要な道具

便器を外すために必要な道具は主に、モンキーレンチスパナ、ドライバー、スポイトなどです。場合によっては塩ビパイプ用のこぎり、塩ビ用ボンド、テープ(仮止め用)、配水管用シールテープなども使うことがあります。

 

ちなみに、ナットを素早く締めることのできるラチェットレンチや、腐食などで外れなくなったナットを割るナットブレーカーといったものもあると便利です。上手い人だと100均で揃えられるような道具だけでやれる人もいるようですが、最初であればしっかりとしたものを用意するのがいいでしょう。

 

□1-3:その他必要なもの

他に必要なものとしては、雑巾、新聞紙、ビニールなどがあります。これは水漏れ発生時に床が濡れるのを防ぎ、作業中に水が散っても掃除を楽にするためです。また、排水管から臭いが発生した時のためにマスクも準備するといいでしょう。

 

便器を外すだけなら上記の道具で足りると思いますが、何のために便器を外すのかによって更に必要なものは変わってきます。

たとえば、便器を外して新しい便器と交換するのであれば当然新しい便器が必要になります。ただし便器には一戸建てに多い床排水タイプと、マンションに多い壁排水タイプの2種類あり、間違えると取り付けることができないので気をつけましょう。

 

また、最近はタンクのないタンクレストイレが増えてきているようですが、タンクレストイレの水圧はタンク式トイレより少ないため、トイレの水圧が足りない場合があります。タンクレストイレに交換をすると、流れが悪かったり詰まりやすかったりとトラブルの原因となる可能性があるので、注意しましょう。

 

便器を交換しない場合でも準備しておくといいものが、パッキンPシールガスケットといった経年劣化する部品です。パッキンの寿命は10年程度といわれていて、便器本体に比べると寿命が短いです。外してみてみたら劣化が激しかった、というような事例も多いようなので、ひどいものは交換できるよう新しいパッキンを準備しておくといいでしょう。パッキンは100円前後で購入できるので、負担も少ないです。

 

Pシールガスケットはパッキンの一種ですがドーナツ型の粘着性のもので、便器と排水部の密着を助けます。便器を外すということは一度便器と排水部の接続を解除させることにもなるので、これもまた一緒に交換するのがいいでしょう。

 

□1-4: 注意しないといけないこと

便器を交換する際に注意しないといけないことがあります。それが「床の排水管はご家庭により様々で、それによって取り付け可能な便器が限られている」ということです。この問題を解決するには、今までは排水管の工事が必要になっていたのですが、最近はその問題を簡単に解決できる部品があります。それがアジャスターです。

 

アジャスターは床の排水管と便器の排水部分を接続するもので、パイプが可変になっていることで様々な長さに調整できます。排水管の取り付けたい便器が今の排水管では合わない場合や、新しい便器を買ってきていざつけようとしたら取り付けできない場合などに重宝します。このアジャスターに対応しているのがリモデル、リトイレと呼ばれるトイレで、TOTO、INAX両社ともに販売されています。ちなみにアジャスターは床排水タイプの便器用のみで、壁排水タイプ用のアジャスターはないようです。

 

また便器が割れないようにすることも大事です。便器は陶器で出来ているため、乱暴に扱った場合や、落下させてしまった場合に割れてしまうことがあります。交換後の古い便器であっても怪我のリスクや掃除が面倒になってしまいますし、新品であれば最悪です。便器は一つにつき5〜15万円程度かかるため、もう一回新しいものを買うとなると非常に大きな出費になってしまいます。業者に頼んだ場合の工事費の相場は便器代除いて3〜5万円程度なので、便器を割ってしまう不安のある人は最初から業者に頼んだ方が楽だし費用も安く済む、という事態になるかもしれません。

 

■二章:便器の外し方

 

ここまではメリットやデメリットを紹介しましたが、ここからは実際に外す際の手順等をご説明させて頂こうと思います。

 

□2-1:タンクを外す

便器には洋式和式、タンク付きとタンクレスなど様々な種類がありますが、今回は床排水タイプの背負い式ロータンクトイレといわれる、背中にタンクがついた一般的な便器の外し方について、説明させて頂こうと思います。

 

まずはタンクを外す手順を説明していきます。ですがその前に絶対にやらないといけないのが止水栓を閉めることです。止水栓はドライバーで閉めます。トイレの便器の交換の際に、一番起こりうるリスクが水漏れです。止水栓が閉まってないと水漏れが発生し周囲が水浸しになってしまい、床がダメになってしまうことになりますので、作業に入る前にしっかりと止水栓を閉め、開いてないか確認しておきましょう。

 

次にタンク内の水を抜きます。灯油などで使うスポイトがあると便利です。便器内の水が引いていれば、レバーを少しずつ回すことでタンクの水を便器内に流してしまうことで多少手間が省けます。これをしないと取り外した時、水が大量にこぼれますので水抜きはしっかりとしましょう。

 

次に便座を外し、その後タンクのフタを外します。手洗い管が付いていないタイプは、フタが置いてあるだけなので簡単に外せます。手洗い管が付いているタイプはタンク内部の部品(ボールタップ)と手洗い管が、袋ナットやゴムのパッキンで接続されているので、モンキーレンチ等で外しましょう。注意点としては、外す際に手洗い管を持たないことです。力を入れすぎると抜けてしまうこともあるそうなので、別の部位を持ちましょう。

 

最後にタンク本体を外します。外し方としてはまずタンクと接続している給水管の袋ナットをモンキーレンチで外します。次にタンクを固定している2カ所のナットを外します。これでタンク本体を移動させることができるようになったと思います。タンクは破損しない様に、タオルなどを敷いた上に寝かせた状態で置きます。この際、新しいタンクを取り付けない場合に確認しておくといいのが、パッキンの劣化具合とボルトの緩みです。

 

パッキンは便器とタンクの間にありますが、劣化すると締め付けが弱くなり水漏れの原因にもなりかねませんので、ある程度年月が経っていたり、新品より明らかに薄くなっている場合は交換しておきましょう。またタンクと便器をつなぐボルトに関しても、緩みがあると水漏れの原因になりかねないので、緩んでいないか確認しておきましょう。

 

□2-2:便器を外す

タンクを外せたら次はいよいよ便器を外す作業に入っていきます。こちらもまずは灯油などで使うスポイトで便器内部の水を抜きます。ペーパーなどが残っているとスポイトがつまってしまうため、事前にラバーカップ等で取り除いてしまうと楽です。

 

次に便器本体を取り外します。そのためにはナット2カ所と床に固定しているネジ2カ所の計4カ所を外します。普通にやる場合はドライバーモンキーレンチを使います。もしナットやボルトが腐食している場合はナットブレーカーを使ってナットを割ってしまうといいでしょう。

 

これで固定部分はなくなったので便器が外せると思います。ただし便器と排水部を密着させる部品であるPシールガスケットは粘着力が強いため、場合によってはくっついて便器がなかなか外せない、という状況になります。この状況で力任せに外そうとすると、本来固定されているはずのフランジという部分まで取れてしまうことがあるので、そういう場合は便器を左右に動かしてゆっくり外しましょう。上手く取り外せた際に確認できるのがフランジです。フランジは便器と排水管と接続する部品で、これがないと便器の固定もできません。

 

Pシールガスケットやフランジの点検、交換もやっておくといいでしょう。Pシールガスケットは新しいものに交換します。ただしガスケットはフランジ側につけるのではなく、便器本体側につけるものなので、注意してください。フランジの方は汚れを落とし割れていないかを確認します。フランジが割れている場合は交換の必要があるのですが、フランジと排水管が接着されている場合は切り離すのが難しく、自分でやるにはインローターと呼ばれる工具が必要です。賢明なのは業者を呼ぶことですが、できないこともないので自信がある人はやってみてもいいかもしれません。

 

□2-3:目的を果たす

便器の取り外しに成功したら、当初の目的を果たしましょう。異物が原因でトイレがつまっている場合は異物を取り出します。詰まった異物が手前にある場合もあれば奥にある場合もあります。上から見えないのであれば、便器の下の穴からライトで照らして覗いてみましょう。手では取れなさそうな場合は、ハンガーなどを使うといいでしょう。

 

便器の交換が目的の場合は、新しい便器を準備し、古い便器は新聞紙や厚めのビニール袋で包んでおきます。この際、便器が割れないように注意しましょう。ここからは便器やタンクを取り付ける手順を見ていきましょう。

 

□2-4:元に戻す

まずは便器を取り付けていきます。便器の下の穴にガスケットを取り付けて、フランジのボルトの位置を合わせながら、真上から便器を置きます。床に便器の跡が残っていれば、そこに合わせると作業しやすいです。ちなみにガスケットをフランジ側に取り付けてはいけない理由は、フランジに取り付けると、便器を設置したときに、便器の穴の出っ張りがガスケットを排水管内に押し込んでしまうためです。ガスケットが排水管内部に入ってしまうと本来の役目を果たさなくなる上に詰まりの原因にもなります。

 

次にナットやボルトを締めて便器を固定します。あとはタンクを逆の手順で取り付ければ完成です。その際にタンクのパッキンの劣化が激しいならパッキンを交換しておきましょう。ナットで便器にタンクを固定するのですが、締めすぎますとタンクや便器が破損しますので要注意です。最後に止水栓を開けて流してみて、給水管と便器まわりから水漏れがないか確認します。

 

□2-5:アジャスターを使用した場合の取り付け手順

床の排水管と新しい便器の排水部分の接続が上手くいかない場合はアジャスターを使います。アジャスターを取り付ける際に大事なのが採寸とパイプの切断です。まず同梱の型紙を使って採寸を行い、接続の際に適切な長さを計ります。そうしたらその位置でパイプを切断します。この切断を誤り、長く切りすぎたまま接着すると、便器位置が壁側にずれるためタンクが壁にぶつかってしまう場合があります。また切った断面が斜めになってしまったりすると、接続部分に凹が出来てしまいます。

 

次にパイプを塩ビボンドでしっかり接着させます。パイプを接着したアジャスターをフランジに固定して、あとはアジャスターを使用しない場合と同様に便器とタンクを取り付けて完了です。

 

□2-6:古い便器の廃棄

便器の交換を自分で行った場合は、古い便器を自分で廃棄する必要があります。方法としては、民間の産業廃棄物業者に依頼する、お住まいの自治体に粗大ごみとして引き取ってもらえるか問い合わせる、ハンマーなどで砕いて不燃ごみとして処理する、などがあります。

 

民間の産業廃棄物業者に依頼する場合は、もちろん一定の値段がかかります。楽ですが他の方法よりは高く、数千円はするようです。値段が気になる方は、まずは無料見積りをしてもらうのもいいでしょう。

 

自治体によっては、便器を粗大ごみで引き取ってくれる場合があります。ただし、多くの自治体は引き取り不可としていますので、まずは問い合わせて確認しましょう。

 

費用を抑えたい方や、そのままでは自治体で粗大ごみとして引き取ってもらえない方におすすめなのが、ハンマーなどで砕いて不燃ごみとして処理することです。不燃ごみとして出す分、費用は一番安いです。注意点としては、破片が飛び散らないように袋や新聞紙などで包みながら砕くことと、砕いた後の袋詰めの際は小分けにすること、袋が破けないよう新聞紙やクッション材で包むことなどです。安い代わりに多少危険ですので、とにかく怪我をしないように注意しましょう。

 

まとめ

トイレの便器の外し方について解説してきましたが、いかがでしたか。「自分でもできそう」と思われた方もいれば、「トイレの便器を外すのはなかなか難しそう」と思われた方もいたかと思います。自分で作業をする際には、細心の注意を払って、慎重に作業しましょう。ここまで読んでいただいて、「自分には無理」と思われた方は、ぜひ業者にお願いしましょう。値段が気になる方も多いと思うので、まずは無料見積りをお勧めさせて頂きます。