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人間もまた他の生物同様に生理的欲求を備えており、その代表的なものとしてよく挙げられるのが食欲・睡眠欲・性欲です。ただし排泄欲もまた生理的欲求の一つであるため、人間が生きた歴史の中には必ずトイレの歴史も含まれてきました。現代では水洗式の洋式トイレが主流であるものの、かつての日本では和式トイレが主流であり水洗式が登場するまでは汲み取り式トイレが普及していました。現在の形状まで発展するのに様々な経緯を辿ってきたトイレですが、その歴史についてあまり知られていないのも事実です。

そこで今回の記事では、トイレの歴史から見る現代のトイレの進化について解説します。人間が生活する上でかかせないトイレですが、どのような経緯を辿ってここまで発展してきたのでしょうか。

第一章:トイレの歴史

この章では現代まで連綿と続くトイレの歴史について解説していきます。ただトイレの歴史について語る上では、その呼称や構造の変化にも触れる必要があります。時代の流れとともに進化してきたトイレですが、その時代の技術力に即した形でトイレの形態や使用方法は徐々に変化していきました。それでは具体的に、どのような変遷を辿ってきたのでしょうか。

1:トイレの形態の変化

日本人がいつ頃からトイレを使用していたかの確証はないものの、下水道らしき構造が弥生時代の遺跡に見られることから、少なくともこの時代にはトイレという場所が存在していたのではないかとされています。

ここから平安時代まで時代が進むと、貴族は樋箱というおまるを使用して用を足すようになります。貴族以外の庶民では野外で用を足す姿も描かれており、汲み取り式トイレが主流となるまではトイレ自体を使用していなかったことが分かっています。ただ汲み取り式トイレが主流となった時代に突入しても、貴族は引き出し式トイレを使用することになりました。この違いは何故生まれたのかというと、汲み取り式トイレを使用してしまうと要人とも言うべき貴族の健康状態を排泄物から判断できなかったため、身分の高い人たちについては健康管理の一環として排泄物を一時的に保管しておける、引き出し式トイレの方が理にかなっていたという訳です。

鎌倉時代には一部の都市においてトイレが個室化するに至り、特に武家では敵の奇襲に備えるため使用者の前方に扉が来るように設計されていました。またこの時代以降の農村部では村民の排泄物を肥料として活用していたために、排泄物を汲み取って商売を行う人たちも現れるようになりました。1691年に来日したドイツ人医師のケンペルの記述によれば、江戸時代の時点では以下のような特徴を持つトイレがすでに見られたそうです。

・トイレの一部が畳敷きになっている

・素足で用を足したくない人用に、草履が置かれている

・汚物入れの桶の中には悪臭予防として籾殻が入れられている

・身分の高い人用のトイレでは、手を触れる箇所に白紙が貼られている

・トイレのすぐそばに手水が用意されているなど

江戸時代の時点ですでに、清潔に使うための工夫が随所に施されていたというのですから驚きです。

そこから時代が進み昭和の戦後ともなると、かつて日本で主流となっていた排泄物の肥料への転用が衛生上の観点からアメリカ軍によって一方的に禁止されてしまいます。それに代わる化学肥料が日本国内でも普及したために、高度経済成長期の時点で排泄物を肥料として使用することはほぼなくなりました。肥料として転用しなくなった排泄物を海洋へと投棄していた日本は、国際条約によって海洋投棄を禁じられたことにより全国的な下水道の整備ならびに浄化槽の設置を余儀なくされます

ただ依然として汲み取り式トイレを使用している地域も点在しており、そうした地域に関しては国から補助金を出して浄化槽の設置を促しているところもあるとされています。

2:トイレの呼称の変化

近年では英語のtoiletからもじって「トイレや「化粧室」と呼称するのが一般的ですが、古くから伝わる呼称としてはその他にも「雪隠(せっちん)」や「手水(ちょうず)」、「厠(かわや)」といったものがあります。

古い呼称に関しては使用する人も割合が少なくなっているため、若い世代の人では意味を知らない人たちの割合が反して高くなりつつあります。国際化の渦中にあるからこそ洋風な呼称に慣れ親しむようになりましたが、古くから伝わる呼称が時代とともに消えていくのは文化が潰えるのと同様に多少なりと寂しいものはあります。今となっては時代物の小説やドラマで呼ばれるのみとなっています。

3:主な便器の種類

現在では洋式トイレが主流となっていますが、一部の地域や公園では今なお和式トイレを設置しているところも中にはあります。それぞれのメリットとデメリットとしては以下のようになります。

・和式トイレ

洋式トイレと違い床と便器が一体型となっているため、掃除がしやすいことが最大のメリットと言えるでしょう。また設置費用が洋式トイレよりも安く、利用時間が比較的短く済ませられることから公園や一部の公共施設では今なお和式トイレを設置しているところもあります。

それに対するデメリットとしては、便器のつまりが解消しにくく修理するために便器自体を撤去しなければならないことが一番のデメリットとして挙げられます。その他のデメリットとしては排泄による水はねで便器や周辺の床が汚れやすいこと、排泄物が一時的に溜まる便槽が便器と距離が近く悪臭が逆流しやすいことなどがあります。

・洋式トイレ

洋式トイレならではのメリットとしてはまず、便座に座って用を足せることから下半身への負担が少ないことが挙げられます。このメリットにより高齢者でも比較的楽にトイレを使用することができます。また排泄物が便器ボウル内の水へと落ちる構造のため、使用中の悪臭がしにくいこともメリットと言えるでしょう。

これに対する洋式トイレの最大のデメリットとしては、不特定多数の人たちが便座に座るため不衛生な印象を感じるということです。そのためデパートのような一部の公共施設では便座拭き専用スプレーが便器横に設置されており、トイレットペーパーに吹き付けて拭き上げることで衛生的に便座を使用することができます。

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第二章:現代の進化したトイレ

長い年数を経るごとにより便利で清潔な形態へと変化してきたトイレですが、現代においてもトイレはさらなる進化を続けています。具体的にはどのような部分で進化を遂げているのでしょうか。さっそく確認していきましょう。

1:節水できる洗浄方法

かつては大一回分の洗浄だけでも、水を13〜20ℓは使用していたものです。しかし節水機能を高めたことにより、今では約半分以下の水量でも便器ボウル内を洗浄できるまでに至りました。各社によってそれぞれ洗浄方法に違いがあるのですが、主な内容としては以下のようになります。

・トルネード洗浄

トイレ業界のパイオニアとも言えるTOTOでは、節水と洗浄力の双方を高める洗浄方法として「トルネード洗浄」を採用しています。これは便器ボウルの外側から内側へと渦を巻くようにして洗い流すのが特徴となりますが、水流の力を借りることで少ない水量でも効率的に汚れを洗い流すことに役立ちます。また便器ボウル内全体を洗い流しやすくなっています。

・パワードライブユニット

リフォーム事業も手がけるLIXILが節水機能を高めるために開発したのが、この「パワードライブユニット」となります。一回につき4ℓというごく少量の水だけを使用しつつも、便器ボウル内の隅々まで確実に汚れを洗い流してくれます。またこのパワードライブユニットでは洗浄音が静かなことも特徴的です。

・ターントラップ洗浄

大手家電メーカーであるPanasonicが開発したこの「ターンドライブ洗浄」では、洗浄方法というよりもトラップの構造をあえて取り払うことで高い節水力を実現しています。通常のトイレであればトラップを通過するために相当な量の水が必要になるものですが、このターントラップ洗浄ではトラップがない代わりに上向きの排水管を新たに設置し、洗浄時のみ電動式で下向きに回転させられるようになっています。これにより洗浄時は排泄物が流れやすく、それ以外の場合ではトラップがなくても逆流する臭いを抑えることができるのです。

2:掃除を楽にしてくれる構造

トイレに限らずどの場所の掃除についても言えることですが、凹凸が目立つ箇所ほど掃除に手間がかかりがちです。しかしトイレ掃除は疎かにするとそれだけで悪臭を放ちやすい場所でもありますので、こまめな掃除を心がけたいものです。そこでトイレを製造している各社では、使用者が掃除しやすいよう配慮した構造のトイレを販売しています。

・便器の縁部分がない

従来のトイレでは便器の縁部分があるために隙間汚れが溜まりやすかったのですが、最近では便器の縁部分がないトイレというのも販売されています。これにより汚れの付着が一目で分かりやすく、かつ拭き掃除もさらに手軽に行うことができます。

・シャワーノズルが収納できる

ウォシュレット機能を有しているトイレであれば、温水を噴射するシャワーノズルが収納できるタイプが増えています。これによりノズル部分の凹凸がなくなり、より清潔な状態を維持しやすくなります。

・ウォシュレットが便座部分と分離できる

ウォシュレットを設置しているトイレの一部のタイプでは、ウォシュレットを便座部分と分離できるものもあります。この機能があるトイレではウォシュレットの下側まで拭き掃除することが可能になります。ただPanasonicでは便器と便座が一体型のものがメインとなるため、TOTOとLIXILだけが分離可能ならタイプを販売しています。

3:便器ボウル内を綺麗にする機能

便器ボウル内をこまめに掃除して清潔に保つのはもちろんですが、できることなら楽して清潔な状態を維持したいものです。そこで各社によって機能の詳細は様々ですが、便器ボウル内を綺麗にする機能というのがそれぞれ存在し ます。

・きれい除菌水

TOTOでは水そのものを電気分解することにより除菌効果を持たせた「きれい除菌水」を、使用前後と8時間使用しない度に都度便器ボウル内へと噴霧する機能を備えています。そのため通常のトイレよりも綺麗な状態を長持ちさせることができます。

・プラズマクラスター

LIXILではSHARPの登録商標である「プラズマクラスター」を使用することで、水では直接洗浄できない便器内や便器の縁裏に付着した菌やカビまで除菌することができます。空気中に浮遊している菌やカビまで除菌してくれますので、トイレの臭い予防にも役立ちます。

・激落ちバブル

Panasonicのトイレであればトイレ上部に設置された専用タンクへと台所用洗剤を注入することで、泡の力を借りて汚れを取り除く「激落ちバブル」機能を搭載しています。激落ちバブルでは大きさの異なる2種類の泡で順々に便器ボウル内を洗浄することで、油汚れまで洗い流すことができます。また洗剤自体の補充も3ヶ月に一回の頻度で済むため、非常に経済的です。

4:オート機能

最近になって各社が注力しているのがこのオート機能です。オート機能を搭載しているトイレでは脱臭機能や温便座機能などにかかる電力を節約できるだけでなく、オート機能とそれらの機能を組み合わせることでより効率的にトイレを綺麗な状態に保つことができます。

このオート機能についても各社で売りにしている機能がそれぞれ異なっています。TOTOではオリジナル芳香剤によるアロマを、LIXILではスピーカーを利用した癒しの音楽を、Panasonicではエコナビによる快適空間の演出にこだわりを見せています。気になる機能があったなら公式HPで詳細を確認してみるのもいいでしょう。

第三章:まとめ

トイレの歴史とともに人類がこれまで発展してきたように、文明が発展し続ける限りはトイレもまた変わらず進化し続けることでしょう。今後とも新たな機能が開発されていくことは予想されますが、これからは自然の影響に配慮した機能を備えたトイレが主流となるかもしれません。

快適な生活を営むことはもちろんですが、私たちも自然の一員であることを自覚し、自然への被害をなるべく最小限に抑えるための取り組みが求められています。トイレも日々進化していくように、使用する私たちもまた自然に配慮した形で使用方法を改めていく必要があります。

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