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冬の寒さが厳しい北海道や東北地方では、毎年のように水道管の凍結を防ぐ対策が厳重になされています。それは主に凍結防止に重点を置いたものですが、水道管が凍結したことを経験したことのない方であれば「少しくらいの凍結なら、何とかなるだろう」と勘違いする人も現にいるでしょう。
水道管の凍結を甘く見ると後で痛い目に遭うことを理解していない方ほど、凍結後になって事の重大さに気付くものです。
また一度凍結させてしまうと自分自身だけでなく周囲に迷惑をかけることにもなりかねず、結果的に高額の出費がかさむことだって十分考えられます。そうした不測の事態を少しでも回避するために、水道管の凍結に関する知識はある程度押さえておいた方が安心でしょう。
そこで今回の記事では水道管の凍結を中心とし、その原因や予防、および対策について解説していきます。水やお湯は普段の生活に欠かせないものだからこそ、水を供給するための水道管が凍結してしまっては普段の生活さえ立ち行かなくなります。冬でも温暖である地域以外の方であれば、全く無関係とは言い切れません。
水道管が凍結して水やお湯のない厳しい生活が来ないよう事前に準備し、冬を安心して過ごすためにもこの記事で水道管の凍結に関する知識をしっかり勉強しておきましょう。
第一章:水道管が凍結する要因とは
この章ではまず水道管が凍結する要因について解説します。水道管の凍結とはそもそも配水管内を通る水が凍結して起こるものですので、水道管内の水が凍結しやすい外気温や場所を知っておくだけでも予防がしやすくなります。具体的な予防法へと話を進める前に、水道管が凍結する要因から確認していきましょう。
1・水道管は外気温マイナス4℃で凍結する
水が凍結する温度な何度かと聞けばほとんどの方が答えられるかと思いますが、正解は水の温度が0℃になった時点で凍結します。ただ水の温度が0℃になれば凍結するという意味なので、仮に周囲の気温が高ければ水の温度が0℃まで下がることはないと考えていいでしょう。
ここで問題になるのは「水自体が現時点で何℃まで下がっているか」ではなく、「水が0℃まで下がるのに周囲の気温は何℃まで下がる必要があるか」ということです。
水道管内の水が凍結する温度を知っていたところで、実際に水道管を開けて温度を測ることは到底不可能です。そのため水が凍結する温度ではなく、水を凍結させる外気温を知っておく必要があります。
水道管の水が凍結する外気温として押さえておきたいのが「マイナス4℃」という数字です。これはほぼ無風の日で想定した場合の外気温ですので、風が強い日であればマイナス2℃からマイナス1℃の外気温でも水道管は凍結することがあります。また外気温の冷たさに直接晒されるかどうかでも、水道管の凍結しやすさは断然違います。
2・水道管が凍結しやすい場所とは
水道管が凍結しやすい場所としては、主に以下のようなものがあります。
・日光が当たりにくい
日光が当たりにくい場所に水道管があるとそれだけ冷気の影響を直に受けるため、凍結しやすいとされています。
・強風が当たりやすい
自分自身が外にいる場合をイメージすれば分かりやすいのですが、風がほとんど吹かない無風の日と、強風が吹き続ける日であれば風の強い日の方が明らかに感覚的には寒く感じられると思います。これは水道管についても同様であり、水道管もまた強風が当たりやすい場所にあるほど水道管内の水が冷たくなりやすく、結果として凍結しやすくなってしまいます。
・水道管やメーターが外部で露出している
水道管とはそもそも、家屋の外部からの給水と家屋から外部への排水をするために設置されています。そのため水道管の配置によっては水道管やメーターが外部で露出していることも少なくありません。外部に露出しているとその分外気温の影響を直接的に受けますので、家屋内の水道管よりも内部の水が凍結しやすいことは容易に想像できます。
・洗濯機用の水道管や給水管が外部で露出している
年季の入った古い一戸建てやアパートの場合であれば、洗濯機用の水道管や給水管であっても外部で露出していることももちろんあるでしょう。ただし洗濯機も常時水が流れている訳ではありませんので、水道管内に水が多少残ったまま次回の使用時までそのまま放置されることがままあります。そうなればわずかな量の水でも凍結した結果として体積が膨張することになり、水が流れにくい、あるいは完全に流れないといった事態にもなりかねません。
・給湯器用の水道管が外部で露出している
冬場の水関係のトラブルで特に困るのが「お湯が突然出なくなった」というものです。これは給湯器用の水道管が外部に露出しており、給湯器付近の水道管内で水が凍結したことによる可能性があります。給湯器の場合であれば特に、水が出入りする水道管の入り口部分と給水を遮断するための開閉止バルブで水道管の凍結が頻発することが分かっています。凍結した場所が特定できなければ次の対策を講じることもできませんので、お湯が出なくなった際には水抜き栓を使用して給湯器の水道管が凍結していないかどうかを確認するようにしてください。
水道管が凍結する要因を大まかに理解したところで、次章では凍結予防の対策について解説します。凍結後の対策ではトラブル解決まで時間がかかる他、凍結がなくならない限りは日常生活に重大な支障を来します。業者に頼んだからといって簡単に解決できる訳でもありませんので、日頃から取り組みやすい予防法を地道に実践しておくことが大切です。
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第二章:水道管の凍結を予防するには
この章では水道管の凍結を予防するための方法について解説していきます。水道管の凍結予防にもいくつか方法があるのですが、全てがメリットのみという訳でもありません。方法次第ではデメリットが大きいこともありますので、以下では自力でできる予防法について確認していきましょう。
1・水を少量ずつ流し続ける
水道管内の水が凍結する最たる理由として挙げられるのが、水がその場に留まるためだと言われています。水道管内の水に流動性があればそれだけ0℃を下回っても凍結しにくいことはありますが、水道費がかさむことが最たるデメリットとして挙げられます。また想定した以上の外気温まで下がってしまうと、水を流していたところで結局は凍結してしまう可能性があります。0℃を下回った時点で水は徐々に凍結していくため、完全に凍結するまでのスピードを下げることはできても100%の予防というものは困難な場合があります。
ただそれでも水抜きの方法が分からないもののどうにか凍結を予防したいという場合には、以下の手順に沿って水を少量ずつ流してください。
①少しずつ水が流れ続けるように、蛇口を開けておく。
②チョロチョロと音が鳴る程度の水量に絞り、水を止めず流したままにしておく。
ただし水抜きする方法が分かる場合であればこちらの方法を優先的に試し、水を流し続けることは避けた方が無難でしょう。
2・水抜きする
冬の外気温がいっそう寒くなる北国では、水抜きによる水道管の凍結防止が一般的です。そのためこの水抜きをしておけばある程度の外気温まで下がったところで、水道管内で水が凍結することなく普段通りに使い続けられます。水抜きの手順は以下の通りです。
①蛇口を開けて水を流し続けておく
②水は流したまま止めずに、水の元栓である止水栓をしっかりと閉める
③止水栓を閉めた状態のまま、蛇口から水を流し続ける。水道管に溜まった水が全てなくなることを確認できるまで、その状態でとにかく水を流しておく
④水道管内の水がなくなり、蛇口を開けたままでも水が流れなくなったら蛇口を閉める
一般的には水抜きする場合に使用するのは止水栓ではありますが、水抜きが当たり前に行われている北海道や東北地方のような北国であれば、止水栓の代わりに水抜栓(不凍栓)を使用することの方がむしろ一般的です。
この水抜栓とは水道管内の水を物理的に抜くよりも効率的に水を抜くことができるもので、水道管内に空いた穴から別の穴を通して水を簡単に抜き取れます。水抜き専用の装置と考えれば理解しやすいかと思います。その水抜栓の主な用途については以下の通りです。
①地面に水抜栓と書かれてあるので、まずその表記がある場所を探す
②水抜栓の表記がある蓋を発見したら、蛇口を開ける要領で水抜栓のバルブを開ける
③バルブを開けた時点で、水道管内へと水を流す元栓が閉まる
④元栓が閉まると同時に水抜き専用の穴が開くので、水道管内の水が全て尽きるまで待つ
⑤水抜栓を使用する際には、室内の空気を取り込む目的もあるので蛇口をあらかじめ開けておく
水抜栓を使用すれば簡単に水を抜くことができますが、「水道管内に抜き切れなかった水が、少しだけ残る可能性があるんじゃないか」と心配になった方もいるのではないでしょうか。その心配を払拭するために、水抜き後も蛇口を開けておくことが重要です。
蛇口を水抜き後もそのまま開けておいたところで水道管内を流れる水はありませんし、何より冬の乾燥した空気が水道管内に入り込み、結果として水道管内の水を蒸発させてくれます。こうしておけば残った水で凍結する可能性も極めて低くなります。
水抜きだけでも凍結予防の効果は高いですが、それと同時に水道管の外側にも凍結予防を施しておくと万全の備えで冬に臨むことができます。
3・水道管を保温材で包む
水道管内の水が0℃まで下がることにより水が凍結するため、水道管自体を保温材で包んでおくとより効果的です。保温材というと何のことか分かりにくいですが、例えば発泡スチロールやタオル、新聞紙などがそれに該当します。そのままでは長期間巻きつけておくことはできませんので、保温材を巻いたその上からテープを巻きつけて固定します。専用の保温テープも市販されていますが、ない場合には普通のテープでも構いません。なるべくお金をかけなくても実践しやすい方法ですので、いっそう厳重に凍結防止をしたい場合にはぜひ活用してみるといいでしょう。
4・水道管に不凍液を流し込む
水道管内での凍結を予防するための方法は水道管の外側からしか行えないように感じるかもしれませんが、水道管の内側を流れる水に不凍液を混ぜることで水が凍結することを予防しやすくなります。
使用方法自体は簡単なもので、家庭内で使用するキッチンやトイレ、洗面台での排水とともに不凍液を流すだけです。たったこれだけの手順で水道管内から凍結防止を促すこともできます。
5・外にある蛇口にタオルを巻く
家屋の外側に設置された蛇口であれば、冬の寒さに冷やされて蛇口部分で水が凍結する場合も考えられます。そうした事態を回避するためにも、蛇口部分にあらかじめタオルを巻いておくことで凍結防止することができます。タオル以外に利用できるものであれば軍手やレジ袋のようなものがあげられます。風が当たるのを遮断できるものであればいいので、手頃な保温材を蛇口の上からかぶせておくといいでしょう。
6・配管用凍結防止ヒーターを設置する
これはお金が別途かかるのであまりおすすめできませんが、水道管が凍結することによる高額の出費を避けたい場合には配管用凍結防止ヒーターも利用できます。これを設置しておけば、自分自身の手間はなく水道管内の水が0℃まで下がることを防止しやすくなります。お金に余裕があれば積極的に活用してみてもいいかもしれません。
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第三章:水道管が凍結したら
ただしいくら万全に思える予防法を講じていたところで、必ずしも凍結しないとは限りません。万が一水道管内で凍結が起こってしまったら、以下の方法を試してみるといいでしょう。
1・外気温が上がり自然に溶けるまで待つ
水道管が凍結した際に真っ先に推奨されるのがこの方法です。確かに外気温が上がるまで待てば水道管内の水も自然と溶けるでしょうし、何らかの方法で凍結を解消しようとした際の失敗で水道管が破損や破裂を起こすこともありません。ただ実際に凍結してしまったことで困っている方からすれば、そんな悠長に待っていられるものでもないでしょう。なるべく早く凍結を解消したいと考えるのであれば、後述する内容を試してみることをおすすめします。
2・凍結した水道管にぬるま湯をかける
水道管内の凍結を解消するのであれば、水道管の外側の温度を上げて中にできた氷を溶かすのが一番手っ取り早いです。ぬるま湯を使用して凍結を解消したい場合には、以下の手順に沿って行う必要があります。
①凍結した部分の水道管に、あらかじめタオルを巻きつける
②ヤカンや片手鍋でお湯を沸かしたら、そこに水を足していき、ぬるま湯の温度になったかどうかを手で確認したら、水道管がある場所まで持って行く。
③用意したぬるま湯をタオルの上に直接注ぎ、凍結した部分が解消できるまで何度か繰り返す。
この時に一番やってはいけないのが、水道管に直接熱湯をかけることです。一見すれば熱湯を直接かけた方が凍結も早く解消できそうですが水道管そのものが破損する可能性が高くなります。一度ヒビが入ってしまえばそこから破裂することにもなりかねませんので、タオルを巻いた上からぬるま湯をかけることを徹底してください。
3・ヘアドライヤーを直接当てる
水道管にタオルを巻いてタオル自体をダメにしたくないのであれば、ヘアドライヤーだけで凍結解消を図ることも可能です。方法は簡単でヘアドライヤーの温風を当てるだけです。ただし温風がきつすぎると水道管自体が傷む可能性がありますので、少しずつ温風を当てて様子を見るといいでしょう。
4・めたタオルを水道管に巻く
水道管を温めるために、あらかじめぬるま湯を含ませたタオルを水道管に巻くという方法もあります。この方法であれば自分が触れる温度以上にタオルを温める心配もありませんし、温度が高すぎるあまり水道管が破損するといった可能性を低くしながら凍結の解消を図ることができます。
これらの方法を駆使すれば、凍結の解消を少しでも早めることができます。しかし凍結を少しでも早く解消したいあまり誤った方法を講じてしまうと、結果的に水道管が破裂することにもなりかねません。
水道管の破裂自体は何も凍結だけが原因ではないのですが、詳しくは次章にて解説します。
第四章:水道管が破裂する要因とは
水道管が破裂する要因にもいくつか種類がありますが、以下でその具体例を確認してみましょう。
1・経年劣化していた
水道管は耐久性があるとはいえ、永久的に使用できるものではありません。そのため経年劣化していく可能性も考慮した上で、水道管のメンテナンスを定期的に行う必要があります。水道管の劣化が始まるタイミングとしては平均的に築10年目が契機と言われており、これ以降は定期的にメンテナンスを行った方がいいとされています。
しかし水道管の経年劣化が進行するスピードも水道管の配置や水道管そのものの材質によってまちまちであり、一概に何年で劣化が著しくなると言うことはできません。
水道管の経年劣化による漏水を知るためのポイントとしては、毎月の水道代を金額まできちんとチェックしておくことが大切です。水道代は家族構成が変わらない限りは季節によって微妙な差分はあるものの、平均的な金額はそれほど変わりません。そのため仮に漏水が発生した場合であれば、普段の水道代以上の金額が発生することになります。
日頃から水道代を見ておくことで漏水にいち早く気付ける可能性がありますので、家計簿をつけるついでにでも金額をある程度把握しておくことをおすすめします。
2・凍結が原因となる
凍結が原因で水道管が破裂する場合には、水が水道管内で体積が膨張することによります。例えば水抜きが終わった後でも元栓自体を閉めておくことで、余分な水が水道管に漏れ出さず内部で凍結することを予防することもできます。破裂してしまった場合には自力で直すことは不可能ですので、すぐに業者に連絡して修理を依頼するようにしましょう。
3・地震の揺れによる
過度の揺れが感じられる場合でなければ見過ごしがちな地震でも、水道管の破裂を引き起こす場合があります。地震によりあらかじめヒビが入ってしまえばそこから水圧により破裂したり、漏水が続くことも十分考えられます。地震の揺れが続く間は避難しておき、揺れが収まった時点で水道管の元栓を全て閉めておいた方がいいかもしれません。
地震の揺れにより水道管が破裂してしまうと、その結果として水害が発生することも十分考えられます。水道管を閉めてなお水道のメーターが反応するようでしたら、もしかするとどこかしらの部分の水道管が破損している可能性があります。破損部位の特定が難しいようであればすぐに業者に依頼し、破損が悪化する前に対策を講じることが大切です。
4・水道管が凍結するとどういった影響が出るか
水道管が破損することで生活に支障を来すことは想像できるでしょうが、具体的には以下のような問題が発生する可能性があります。
・手が洗えない
・トイレが流せない
・お湯が沸かせない
・お風呂が沸かせない
・体や頭を洗えないなど
これだけ挙げてみただけでも、水道管の凍結がいかに日常生活に支障を来すかが分かるかと思います。水道管の凍結を起こさないためには本格的に冬になる前から予防を講じておき、どうしても凍結してしまった場合にはできる範囲で対処する必要があります。ただそれでも素人ではどうしようもない場面も少なくありませんので、自力での解決が無理だと判断できた場合には迷わず業者へと依頼するようにしましょう。
5・素人判断で強引に解決するのはNG
水道管の修理とはいってもお金がある程度かかってしまうことから、何とか自力での解決を図ろうと躍起になる方もいるかもしれません。しかし素人目では特に問題ないように思える状態であっても、プロの目から見たら実は水道管の状態が破損寸前であることだって十分考えられます。
素人判断で全てを解決するとなるとどうしてもネットの情報に頼りがちですが、場合によっては誤った情報をさも正しいかのように書いてあるサイトも恐らくあるでしょう。もちろん複数のサイトで紹介されている方法であればその信憑性は高いでしょうが、その場しのぎの無理な方法であってもすぐに解決できたという情報に踊らされ、「すぐに解決できるならこの際何でも良い」と誤った判断を下してしまうこともないとは言い切れません。
そうした素人判断が莫大な出費を発生させることにもなりかねませんので、よほどの自信がない限りは自力での対処そのものを控えた方がいい場合もあることを肝に銘じておきましょう。
第五章:まとめ
水道管の破損や破裂を経験したことがない方ほど甘く見がちなトラブルではあるものの、実際に起こってしまうと手痛い出費になることは覚悟しなければなりません。日頃からのちょっとした注意や対策だけでそうした出費を回避できるのであれば、そちらの方がよほど自分にとってのメリットが大きいのではないでしょうか。
水道管の破損が目に見えるほどであれば早急に対処もできますが、軽微なものであれば気付かずに放置してしまい、しばらく経ってから被害が甚大になることだって十分考えられます。劣化していない状態から一気に破裂まで進行することはほぼないと思いますので、冬場になる都度水道管の凍結防止がてらその状態をチェックし、万が一の場合にはすぐに業者に頼めるよう事前に連絡先を調べておくとより安全です。
水道管の凍結は冬限定でしか起こりえないものであるために軽視されがちな問題ではあるものの、実際に起こってしまったら生活自体がかなり困難になることは容易に想像がつきます。今まで水道管の凍結防止をしてこなかった家庭でも、来年の冬が来るまでには事前に準備しておき、水のない厳しい生活を強いられることのないよう対策を講じておくといいでしょう。